好きな人ができた。
それなのに、なぜか気持ちが落ち着かない。
「ちゃんと好かれているのかな」
「急に嫌われたりしないかな」
——そんな考えが、頭の中をぐるぐると回ってしまう。
好きという気持ちとは、本来うれしいものです。
それなのに不安がついてくると、
「こんなふうに感じてしまう自分は、おかしいのかな」
そう思ってしまうこともあるかもしれません。
でもそれは、おかしいことではありません。
この記事では、なぜ恋愛に不安がつきまとうのか、
その理由を丁寧に整理しながら、
気持ちが少しだけ楽になるためのお手伝いをします。
不安の正体は、「失いたくない」という気持ち
恋愛における不安の多くは、
「失いたくない」という感情から生まれます。
大切な人ができたとき、
その関係を守りたいと思うのはごく自然なことです。
そしてその気持ちが強いほど、
相手のちょっとした言葉や態度の変化が、
心に大きく響いてしまいます。
「昨日より返信が遅かった」
「なんとなく元気がなさそうだった」
本来であれば気にならないようなことも、
好きな人のことになると、
ひとつひとつが意味を持ってしまいます。
あなたの心が弱いからではありません。
相手を本当に大切にするために、
心がとても敏感になっているのです。
不安は、愛情の裏側にある感情です。
どうでもいい相手のことで、ここまで心は動きません。
なぜ、好きなのに不安になるのか
恋愛の不安には、いくつかの原因があります。
あなたの気持ちに近いものが、
もしかしてこの中にあるかもしれません。
幼い頃の経験が影響していることがある
心理学には、「愛着スタイル(アタッチメント)」という考え方があります。
子どもの頃に親や保護者から愛情を受けた経験の積み重ねが、大人になってからの人間関係のパターンに影響するという理論です。
愛情が一貫して与えられた子どもは、
「安定した愛着スタイル」を育みやすいとされています。
一方で、愛情や関わり方が不安定だったり、
感情的なサポートが不規則だったりした場合、
「不安型の愛着スタイル」が育まれやすくなるとされます。
不安型の愛着スタイルを持つ人は、
恋愛においても、
相手の気持ちを繰り返し確認したくなったり、
少しの変化に過剰に反応してしまったりすることがあります。
これは子ども時代に、
「愛されるかどうか」が不安定だったことを、
大人になっても無意識に繰り返してしまう心の反応です。
もしあなたがそうであっても、
それはあなたの弱さではありません。
経験から形作られてきた、心の自然な反応です。
過去の恋愛での傷が残っていることがある
以前の恋愛で深く傷ついた経験がある人は、
新しい恋においても同じような痛みを怖れてしまいます。
「また裏切られてしまうかも」
意識しなくてもそんな警戒心が、
心の奥に根づいてしまっていることがあります。
過去は過去だと分かっていても、
簡単に気持ちをコントロールすることは難しいです。
それでも「これは過去の傷からくる不安かも」
と気づけるだけで、少し視野が開けることがあります。
自分に自信が持てないとき
こんな私で本当にいいのかな、
もっと可愛かったら、もっと魅力があったら。
そんなふうに、好きな人ができると、
急に自分の欠点が気になり始めることがあります。
自己評価の低さによって、
相手の気持ちや関係の将来に対して疑いが生まれやすくなることもあります。
今はいいかもしれないけど、
本当に好きでいてくれるのか、
どこかで飽きられてしまうのではという考えが、
繰り返し頭に浮かんできてしまいます。
それでも大切なことは、
好きになってもらえるかどうかで、
あなたの価値は決まらないということです。
恋に揺れているあなたも、
自信をなくしているあなたも、
大切にされる価値は変わらずにあります。
生きているだけでえらいという言葉は、
おおげさなものではありません。
コミュニケーションが足りていないとき
二人のあいだで、お互いの気持ちや、
将来についての話がきちんとできていないときに、
心に「真空」が生まれることがあります。
相手がどう思っているのか分からない。
この関係はどこへ向かっているのか分からない。
その「分からなさ」が、
不安を育ててしまうことがあります。
もっと相手の考えを知りたいとか、
もっと気持ちをみせてほしいとか、
そういうことを伝えるのが怖くても、
沈黙が続くほどに不安は大きくなってしまいます。
「恋愛の不安」がどんなふうに現れるか
恋愛の不安は、さまざまな形で現れます。
- 相手が本当に自分を好きなのか、繰り返し確認したくなる
- 返信が遅いと、最悪のシナリオを考えてしまう
- 相手の一言一句を、何度も思い返して意味を探してしまう
- 好かれているはずなのに、「きっといつか終わる」と感じてしまう
- 自分を後回しにしてでも、相手の気持ちに合わせてしまう
- 相手と一緒にいるより、不安について考える時間のほうが長くなっている
このような状態になったことがあるのなら、
恋愛の不安が、
日常に影響を与えてしまっているかもしれません。
それでも、今自分はそうなっているかもと気が付くことができるだけで、
言いようのない不安に対しての立ち位置が、
少しずつよくなっていくはずです。
不安な気持ちを、少しだけ楽にするために
不安を完全に消そうとすると、
かえって心は疲れていってしまいます。
なので日々の中で少しずつ、
実際に試してみられる方法をいくつか提案します。
気持ちを書き出してみる
頭の中で繰り返している不安は、
紙やメモアプリに書き出してみると、
少し客観的に見られるようになります。
誰かに見せるわけではないので、
きれいな言葉にする必要はありません。
「すごく寂しい」
「嫌われてしまうかもしれない」など。
気持ちそのままの言葉でも、単語でも、
実際に書き出すことで、
ぐるぐるしていた思考が少しずつ整理されていきます。
「心配タイム」を決めてみる
一日中不安なことを考え続けてしまうときには、
毎日10〜15分だけ、
「心配について考える時間」を決めてみる方法があります。
その不安について考えるのはこの時間帯だけ、
それ以外の時間に不安が浮かんできたら、
「あとで心配タイムに考えよう」と、
自分に言い聞かせて前を向いてしまう作戦です。
これは認知行動療法に基づいたアプローチで、
不安や心配なことが、
生活を占めすぎてしまうのを防いでくれます。
「その不安は本当のことか」を問いかけてみる
不安を感じたときに、
立ち止まって自分に問いかけてみてください。
- その不安に根拠はある?
- その不安と、実際に起きていることは一緒?
- 最悪のことを想定していない?
- 友達が同じ状況なら、なんて声をかける?
感情と事実は、同じではありません。
不安だから悪いことが起きるわけでもありません。
どうして不安になったんだろう、
その原因を見直してみることで、
不安の力が少し弱まることがあります。
相手に話してみる
不安をひとりで抱え込まずに、
相手に伝えることも大切です。
「こういうことが心配になってしまう」
と正直に話すことは、関係を壊すことではありません。
むしろ二人のあいだに、
信頼を育てるきっかけになることもあります。
それでも伝え方には注意が必要です。
相手を責めるのではなくて、
自分の気持ちとして話してみましょう。
「あなたがこうするから不安になる」ではなく、
「こういうことがあると、私はこんな気持ちになってしまう」
という形が、相手に受け取られやすい伝え方です。
今この瞬間に意識を向けてみる
未来への不安は、まだ起きていないことです。
5年後も一緒にいるのかなとか、
いつか終わってしまうのかなとか。
そんな問いを繰り返すばかりになると、
今この関係の中にある温かさや喜びが、
見えなくなってしまいます。
まだ何も終わっていないのだから、
今この人と過ごしている時間は、本物です。
未来ばっかり考えてしまうと気付いたときには、
深呼吸をして今を見つめてみてください。
今ここにある感覚とか、体温とか、
なにが見えているとか聞こえているとか、
そういうものに意識を向けることで、
不安な心を落ち着かせる助けになります。
「好き」と「不安」は、一緒に存在していい
好きという気持ちと、
不安という気持ちは、矛盾していません。
好きだからこそ失うことが怖い。
好きだからこそ心が揺れる。
感じてしまう不安は、あなたがその恋を大切にしているということの裏返しです。
不安を感じているあなたが弱いわけではありません。
「いま、私は不安を感じているんだな」
と気づいてあげるだけでも、
気持ちは少しずつ落ち着いてきます。
不安を消そうとするのではなく、
そっと認めてあげる。
それが、心を少しだけ楽にする最初の一歩かもしれません。
最後に
好きなのに不安になるのは、
決して変なことではありません。
好きという気持ちと、
不安という気持ち。
そのどちらも、あなたが実際に感じたとても大切な気持ちです。
すぐに答えを見つけることも、
完璧に落ち着くことも、
できない方が当たり前ではないでしょうか。
ですから自分の心に少しだけ優しくしながら、
ゆっくりと自分のペースで進んでいけばいいのです。
気持ちの整理に行き詰まったときには、
このサイトのミニワークを使って、
今の自分の気持ちを書き出してみることも、
ひとつの助けになるかもしれません。


