大好きな人だからこそ、
嫌われたくなくて、
言葉を飲み込んでしまう。
相手の機嫌を損ねないように、
自分の本当の気持ちには、
そっと蓋をして笑ってみせる。
恋をしていると、
そんな風に自分の感情を、
後回しにしてしまうことがあります。
「私が少し我慢すれば、この関係はうまくいくんだ」
そう自分に言い聞かせて、
一人で耐えてしまうことはありませんか。
でも、本当は心が少しずつ、
苦しくなっているはずです。
好きなのに不安になったり、
相手の気持ちが分からなくて考えすぎたり。
我慢を重ねるうちに、
自分でも自分の本音が、
わからなくなってしまうことがあります。
このコラムは、恋愛のなかで、
「好きだから我慢しなきゃ」と思い詰めて、
心がすり減ってしまったかもしれない、
そんなあなたのための場所です。
恋に正解はないけれど、
絡まってしまった気持ちを、
整理することはできます。
無理に前向きになろうとせず、
まずはここで疲れた心を、
ゆっくりと休ませてあげてください。
あなたがなぜそんなにも、
頑張って我慢してしまうのか、
そして、その重たい荷物を、
どうすれば少しずつ降ろしていけるのか。
それを、一緒に見つめていきましょう。
なぜ「好きだから我慢しなきゃ」と思ってしまうの?
相手を優先して、
自分を抑え込んでしまう背景には、
いくつかの優しくて、
少し切ない理由が隠れています。
あなたが我慢してしまうのは、
決してあなたが弱いからではありません。
相手のことを大切に想う気持ちが、
少しだけ方向を迷ってしまった結果なのです。
嫌われてしまうのが怖いという不安
一番大きな理由は、
「本当の自分を出したら、嫌われてしまうかもしれない」
という不安です。
「これを言ったら重いと思われるかな」
「わがままを言ったら、離れていってしまうかもしれない」。
そんな恐怖心が常にあると、
無意識のうちに、
相手の顔色をうかがうようになります。
波風を立てるくらいなら、
自分が飲み込んだほうが安全だと感じてしまうのです。
この不安の裏側には、
相手を深く愛しているからこそ失いたくないという、
とても純粋な願いがあります。
自分が合わせればうまくいくと信じているから
「過去の恋愛や人間関係で、自分が空気を読んで行動したことでその場が丸く収まった」
という経験を持つ人は、
恋愛でも同じ方法をとってしまいがちです。
相手と意見がぶつかったとき、
話し合って解決するよりも、
自分が折れるほうが手っ取り早く、
平和な状態を保てるように思えます。
そのため、
「私が我慢すれば、すべてがうまくいく」
というルールを自分の中に作ってしまっているのです。
「相手を思いやる」と「自分を犠牲にする」を重ねてしまうから
優しい人ほど、
相手を思いやる気持ちと、
自分を犠牲にする我慢の境界線が、
曖昧になってしまいます。
相手のために何かをしてあげたいと思うのは、
恋人に対する自然な愛情です。
しかし、それがいつしか、
「相手のために、自分の希望はすべて捨てるべきだ」
という極端な自己犠牲に、
すり替わってしまうことがあります。
相手の幸せが自分の幸せだと信じるあまり、
自分自身の心が悲鳴を上げていることに、
気づけなくなってしまうのです。
我慢を続けると、心はどうなってしまう?
少しの我慢なら、
恋愛のスパイスとして、
やり過ごせるかもしれません。
しかし、「好きだから我慢しなきゃ」、
という状態が当たり前になってしまうと、
心には少しずつ見えない傷が蓄積されていきます。
自分の本当の気持ちが分からなくなる
自分の感情に蓋をする習慣が続くと、
やがて「自分が本当はどうしたいのか」が分からなくなってしまいます。
「何を食べたい?」
「どこに行きたい?」と聞かれても、
相手の答えを予測して合わせるようになり、
自分の純粋な欲求が迷子になってしまうのです。
自分の気持ちが分からなくなると、
恋愛だけではなく、
人生そのものの楽しみや喜びまで、
薄れてしまうことがあります。
恋が「楽しい」から「苦しい」に変わる
本来、好きな人と一緒にいる時間は、
安心感や喜びに満ちているはずです。
しかし、我慢ばかりの恋愛では、
一緒にいる時間そのものが、
「緊張」や「疲労」の連続になってしまいます。
相手の行動一つ一つにビクビクしたり、
常に頭の中で「こうするべきか、ああするべきか」と考えすぎたり。
気づけば、相手に会うことすら、
少し億劫に感じてしまうこともあります。
それは、あなたの心が、
「これ以上無理をしないで」
とサインを出している証拠です。
相手との心の距離が少しずつ離れていく
良かれと思って我慢しているのに、
皮肉なことに、我慢を重ねるほど、
相手との心の距離は開いていきます。
なぜなら、
あなたが本当の気持ちを隠している限り、
相手は「作られたあなた」しか、
愛することができないからです。
表面上は平和に見えても、
心の奥底では深い部分で繋がれていない、
という寂しさが消えません。
また、我慢している側には、
「こんなに尽くしているのにわかってくれない」
という不満が溜まり、
いつか大きな溝となってしまう危険があります。
「思いやり」と「自分をすり減らす我慢」の違い
恋愛における「思いやり」と「我慢」。
この二つは似ているようで、
心に与える影響はまったく異なります。
自分が今している行動がどちらなのか、
立ち止まって見つめ直してみましょう。
見返りを求めて苦しくなるのはサイン
本当の「思いやり」は、
相手に何かをしたこと自体で、
自分の心が満たされるものです。
相手がどう受け取るかにかかわらず、
自分の意志で選んだ行動なので、
心に余裕があります。
一方で、自分をすり減らす「我慢」は、
心の中に無理を強いているため、
無意識のうちに見返りを求めてしまいます。
「私はこれだけ我慢しているんだから、あなたも少しは優しくしてほしい」
「私がこれだけ合わせているのに、どうしてあなたは分かってくれないの?」。
そんなふうに相手の態度に対して、
イライラや悲しみが湧いてくるなら、
それは思いやりではなく、
無理な我慢をしているサインです。
対等な関係には「安心感」がある
健康的な恋愛関係の土台にあるのは、
「安心感」です。
意見が違っても、
嫌なことを嫌と言っても、
この人は私を拒絶しない。
そんな信頼があるからこそ、
お互いに自然体でいられます。
もし今の関係に安心感がなく、
「これを言ったら終わってしまうかもしれない」
という薄氷を踏むような思いで接しているなら、
その関係のバランスは、
少し崩れてしまっているのかもしれません。
少しずつ我慢を手放して、自然体で恋をするためのヒント
染み付いてしまった「我慢する癖」を、
今日からいきなりやめるのは難しいものです。
無理に変わろうとしなくても大丈夫です。
今の関係を壊さずに、
少しずつ自分の心を取り戻していくための、
小さなヒントをお伝えします。
まずは「我慢している自分」に気づいてあげる
一番大切なのは、
自分の感情を否定せずに認めてあげることです。
「あ、私、今言いたいことを飲み込んだな」
「本当は行きたくなかったのに、笑って頷いてしまったな」。
そうやって、
我慢した瞬間の自分に、
気づいてあげてください。
相手に伝えられなくても構いません。
自分自身が「私は本当はこう思っていたんだね」、
と理解してあげるだけで、
心はふわりと軽くなります。
言葉にできないモヤモヤがあるときは、
ノートに今の気持ちを、
書き出してみるのも良いでしょう。
答えを出そうとせず、
ただ感情を文字にして整理するだけで、
心は少し落ち着きを取り戻します。
小さなことから「自分の希望」を伝えてみる
自分の気持ちを伝えることに慣れていない人は、
恋愛とは関係のない、
本当に小さなことから始めてみてください。
「今日はコーヒーより紅茶が飲みたい」
「この映画より、あっちの映画が見てみたい」。
そんな、相手にとって負担にならない程度の、
小さな希望を口に出す練習です。
小さな希望を伝えて、
相手がそれをすんなり受け入れてくれる、
こんな経験を重ねることで、
「自分の意見を言っても嫌われないんだ」
という安心感が育っていきます。
相手の反応をコントロールしようとしない
自分の気持ちを伝えたとき、
相手がどう感じるか、
どう行動するかは相手の課題です。
あなたが本音を伝えたことで、
相手が少し驚いたり、
一時的に不機嫌になったりするかもしれません。
でもそれは、
お互いの違いを知るための大切なプロセスです。
「相手を怒らせないように」
と相手の感情まであなたがコントロールしようとするのはやめて、ただ自分の気持ちを誠実に伝えることに集中してみてください。
心に境界線を引く
恋をしていると、
相手との境界線が曖昧になり、
相手の問題まで、
自分が背負い込んでしまうことがあります。
「相手が不機嫌なのは私のせいだ」
「私がもっとしっかりしていれば」
と考えるのはやめましょう。
相手の感情は相手のものであり、
あなたの感情はあなたのものです。
自分の心を守るために、
「ここから先は私が背負う必要のないことだ」と、
心のなかにやさしく線を引く、
そんなイメージを持ってみてください。
心が悲鳴を上げているときのサイン
最後に、一つだけ大切なお話をします。
もしあなたが、
相手の機嫌を損ねることに「恐怖」を感じているなら、
少しだけ立ち止まってみてください。
あなたが我慢しなかったときに、
相手が激しく怒鳴ったり、
物を投げたり、何日も無視をして、
あなたを精神的に追い詰めたりするようであれば、
それはあなたが努力して耐えるべき状況ではありません。
恋愛において、
恐怖で相手を縛り付けるのは愛情ではありません。
あなたの心と体の安全が何よりも一番大切です。
もし少しでも「怖い」、
「自分が壊れてしまいそう」と感じるなら、
一人で抱え込まず、
信頼できる友人や専門の相談窓口に気持ちを話してみてください。
逃げることは、
決して弱いことではありません。
今日から始める、あなたの心を大切にする恋愛
「好きだから我慢しなきゃ」という思いは、
あなたが相手を深く愛し、
関係を大切にしたいと願う優しさから生まれたものです。
その優しさ自体は、
とても美しく尊いものです。
けれど、その優しさを、
どうか自分自身にも向けてあげてください。
恋愛に正解はありません。
しかし、あなたがあなたらしく、
心から笑って過ごせることは間違いなく大切です。
無理をして作られた笑顔よりも、
あなたが心から安心している姿のほうが、
きっとずっと魅力的なはずです。
考えすぎて眠れない夜や、
不安で胸がいっぱいになってしまったときは、
無理に前を向こうとしなくて大丈夫です。
まずは自分の気持ちを整理して、
ゆっくりと休んでください。
我慢しなくていいんです。
あなたは、あなたの心を守りながら、
恋をしていいんです。
あなたが自然体で呼吸できるような、
温かくて穏やかな恋愛へと、
歩みを進めていけますように、
私がここから応援しています。



