好きな人と、少し仲良くなった気がするのに、
なぜか距離は縮まらないまま。
話す機会はある。笑顔も向け合っている。
なのにどこか、踏み込めない。
あと一歩が、近いようで遠い。
そんな状態が続くと、もどかしさと小さな寂しさが、
心の中に少しずつ積み重なっていきます。
「私はこの人にとって、どんな存在なんだろう」
という問いが何度も浮かんでくるし、
相手の言葉や態度を、何度も思い返してしまう。
期待してしまう自分と、
期待しすぎてはいけない気がする自分が、
胸の中で行ったり来たりする。
そのくり返しが、
じわじわと心を疲れさせていきます。
なぜ距離が縮まらないと感じるのか、
その理由をゆっくりと考えながら、
少しだけ気持ちを楽にするための考え方を、
一緒に整理していきましょう。
片思い中の距離感について、
こちらのコラムもぜひ読んでみてください。


なぜ距離は縮まりにくいのか
お互いが「関係を壊したくない」と思っているから
気持ちがないから距離が縮まらない、
そうではなくて、むしろ逆です。
距離が縮まらない理由のひとつは、
「お互いに今の関係を大切にしているから」
ということです。
あなたが遠慮していたり、
相手が過去の経験から一歩引いていたりと、
お互いが慎重になってしまっている場合です。
こんなときには、
嫌われたくない、壊したくないという気持ちが、
近づくことへのブレーキになってしまいます。
なにか行動があったときにも、
どちらかが動きたいタイミングで、
片方がまだだと思っているときなどには、
行動にズレが生まれてしまって、
関係が止まって見えることもあります。
これはあなたが、あるいは相手が、
この関係を本当に大切に思っているからこそ、
起きていると言えるでしょう。
「サイン」がすれ違っている
心理学者のジョン・ゴットマンは、
人と人とのつながりの中に、
「ビッド(bid)」と呼ばれる、
小さなサインがあることを示しています。
ため息をつく、ふと話しかける、視線を向ける。
これらはすべて、
「つながりたい」という小さな呼びかけです。
そしてそのサインに気づいて応えること、
(ターニング・トゥワード)が、
関係の深さをつくっていくと言われています。
距離が縮まらないときには、
どちらかのサインが届いていなかったり、
受け取れていなかったりすることがあります。
どちらに悪意があるわけではなく、
本当に気付かなかったからすれ違っているだけ、
ということも少なくありません。
自分を見せることへの怖さ
心理学では、自分のことを相手に伝えると、
相手も自分のことを話してくれるようになる、
「自己開示の返報性」という考え方があります。
近づきたいのに近づけないとき、
どちらかが、あるいは両方が、
自分を見せることを怖れている場合があります。
嫌われたくないとか、
がっかりさせたくないとか、
そんな気持ちが、言葉を飲み込ませてしまう。
でも、関係が深まるのは、
完璧な自分を見せたときではなくて、
すこし本音を打ち明けてみたときが多いのです。
相手が慎重なタイプのとき
過去に傷ついた経験がある人は、
新しい関係を始めるときでも、
無意識に一歩引いてしまうことがあります。
それは冷たさではなく、
自分を守るための心の反応です。
恋の経験から以外でも、人間関係という意味で、
なにか嫌な思いをしてきたときには、
すぐに心を開くことができない場合もあります。
時間をかけて信頼を積み重ねていくことが、
もしかするとその相手にとっては、
必要な過程なのかもしれません。
お互いの「ちょうどよい距離」がまだ定まっていないとき
関係には、それぞれのペースがあります。
お互いに好きな気持ちを持っていて、
それぞれが近づいていこうとしてる時にでも、
安心する距離感という意味で、
それぞれの目標が違っていることもあります。
できる限り近くに居たいという人と、
少し距離があるほうが心地よいという人とでは、
同じ行動でも感じ方が違うのです
それのために、一方が近づこうとしたときに、
もう一方が後ろに下がっているように見える、
ということもあります。
どちらにも悪気があるのではなく、
お互いに自分が安心できる距離に移動した結果、
近付きたかった側からすれば、
ぎこちない距離に見えるのです。
ちょっと距離を感じてしまうとか、
なかなか縮まっている気がしない時には、
相手があなたを拒絶しているわけではなくて、
それくらいの位置が今の相手にとって、
「好き」を維持するために、
ちょうどよい場所だということかもしれません。
「進んでいない」ように見えても、止まってはいない
距離が縮まらない時間は、
何も起きていないわけではありません。
あなたの心の中では、
相手への気持ちが少しずつ深くなっていたり。
相手の心の中でもあなたの存在を、
ゆっくり噛みしめている頃かもしれません。
目に見えないところでも、
恋の関係はゆっくりと動いています。
進んでいないと感じるときほど、
心の中ではいろいろなものが育っていることが、
本当によくあるのです。
そんなときには、
焦っても関係が早く育つものではないし、
悩んでしまっても解決が難しいものですから、
むりに焦る必要はありません。
焦りが距離をさらに広げてしまうとき
距離が縮まらないと感じると、
どうにかしようと焦ってしまうことがあります。
もっと連絡しようとか、
もっと会おうとか、何か特別なことをしようとか。
でも焦りは、相手に伝わります。
「この人、急に距離を詰めてきた」と感じると、
まだ準備ができていなかったりして、
相手は逆に引いてしまうことがあります。
せっかく近づこうとしたのに、
かえって距離が遠くなってしまった。
そんな経験をした人もいるかもしれません。
本気だからこそ焦ってしまいますが、
焦って動くことが必ずしも、
関係を近づけるわけではありません。
もどかしさは、悪いものではない
「もっと近づきたい」という気持ちは、
とても純粋でまっすぐな願いです。
誰かを好きになると、
心はその人のほうへ少しずつ動いていきます。
声を聞きたいとか、気持ちを知りたいとか、
大切にされたいという思い。
そういう気持ちが生まれるのは、
その恋の中にちゃんと立っているという証拠です。
その中で距離感という壁が見えてしまうと、
知りたいこと、見たいことが、
なんだか遠くなってしまうようで、
苦しくなってしまうことがあるかもしれません。
動きたくても動けないような状況であるなら、
なおさらそう感じるかもしれません。
それでも、もどかしさを感じているのは、
あなたの心がちゃんと恋をしているからであり、
そのために自分の立ち位置を責めたり、
できなかったことを悔いる必要はありません。
「なにかが起きた」時には、
なぜ、誰がというのを、
比較的すぐに見つけられるものですが、
「なにも起きていない」時には、
それを見つけにくいですから、
自分が悪かったのではないかと考えがちです。
あなたが悪いことをしたわけではありません。
今は遠く感じていても、
ある日ふとした瞬間に、
何かが変わることがあります。
一緒に笑ったとき、
困ったときに助けてもらったとき、
偶然同じものが好きだと分かったとき。
このような瞬間の背景には、
あなたがゆっくりと育てていった。
二人の「関係」がちゃんとあります。
距離を縮めるためにできること
小さな自己開示から始める
心の距離が縮まるとき、
そこには「自己開示」があります。
自分のことを、
少しだけ話してみるということです。
好きな食べ物、最近気になっていること、
ちょっとした失敗談。
大きなことを話す必要はありません。
小さな自己開示が積み重なることで、
相手も「この人になら話してもいいかな」
と、感じ始めてくれます。
相手の話を、ただ聞く
また逆に、距離を縮めようとするとき、
つい「自分を知ってもらいたい」と、
思いすぎてしまうことがあります。
それも大切なことですが、相手が、
「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれる」
と感じてくれることも、
同じくらい距離を縮める力を持っています。
相手が話してくれることを、ただ聞く。
その時々の話を味わいながら、ただ聞いてみる。
それだけで、二人のあいだの空気が、
しっかり変わることがあります。
一緒にいる時間の「質」を大切にする
何回会ったかよりも、
どんな時間を過ごしたかが大切です。
心の距離が縮まっていくのは、
ただたくさん会った時ではなくて、
会った時間の中にある温かさを感じた時です。
どちらかがが笑った瞬間の華やぎ、
お互いがふと黙ったときの穏やかな居心地、
心かよう何気ない会話の流れ。
そういうものが積み重なって、
関係はゆっくりと深まっていきます。
相手のペースを尊重する
自分がどれだけ近づきたくても、
相手には相手のペースがあります。
もしかして相手の生活のなかに、
恋よりも先にしなければならないことが、
あるのかもしれません。
そんな場合にはどんどん押してくる人が、
すこし邪魔に思えてしまうかもしれません。
またあなたにも、
恋より先にしなければならないことがある時期が、
あった(これから来る)かもしれません。
「もっと早く」と思う気持ちは自然なものですが、
それぞれのペースを無理に変えようとすることは、
関係をこじらせてしまうことがあります。
お互いのペースを尊重することが、
結果的に距離を縮めることにつながっていきます。
距離が縮まらないことは失敗じゃない
距離がなかなか縮まらないことを、
自分のせいだと思ってしまうことはあります。
もっと魅力があれば、
もっとうまく話せれば、
もっと違うアプローチをしていれば。
そうして自分を責めてしまうかもしれませんが、
距離感は二人の間にあるものですから、
どちらか一方だけが原因ということはありません。
相手の代わりとして自分を責めることは、
相手を責めるのと同じことです。
それに、どちらも悪くなかったかもしれません。
お互いに頑張っている現状の結果が、
まだ目に見えていないだけかもしれないのです。
距離が縮まらないことは、
この恋が「うまくいっていない証拠」だ、
というわけではありません。
恋が進んでいないように見えるのも、
なにも起きていない証明ではありません。
恋心や信頼がゆっくりと育っていくのを、
あまり自分を責めずに、
「これがこの恋のペース」だと考えて、
今を味わっていくのもいいのではないでしょうか。
それでも考えすぎてしまう夜には、
「今日はここまで」と自分に言ってあげてください。
疲れてしまうほど考えてしまうときには、
今日はここまでワークを使ってみることも、
そういった夜の助けになるかもしれません。

あなたのペース、相手のペース、
この恋のペースを守りながら、
すてきな距離感を見つけていってください。
そしてその恋の距離感がいつか、
あなたが願うようになっていくことを、
私がここから応援しています。


