恋をすると、大好きな人が、
とてもまぶしく見えることがあります。
仕事ができて、人柄もよくて、
誰からも好かれるような素敵な人。
そんな相手の隣にいるとき、
ふと「私なんかが釣り合うのだろうか」と、
胸が苦しくなることはないでしょうか。
相手を好きになればなるほど、
自分の足りないところばかりが、
目についてしまうこともあります。
学歴や収入、容姿、
あるいは性格の明るさなど、
目に見えるものを並べては、
自分に自信をなくしてしまう。
それは、恋をしているからこそ生まれる、
とても自然で痛みを伴う感情です。
「自分にはもったいない」
と感じるその気持ちは、
決してあなたが劣っているから生まれるのではありません。
このコラムでは、
恋の「釣り合い」が気になってしまう心の動きを整理し、
不安でいっぱいになった心を、
少しずつ休ませるためのヒントをお伝えします。
なぜ、好きな人との「釣り合い」が気になってしまうのか
相手を高く評価しすぎる心のフィルター
恋をしているとき、
私たちの心には特別なフィルターがかかります。
心理学で「ハロー効果」と呼ばれるこの現象は、
相手の一つの良いところ
(例えば、仕事ができることや、外見が魅力的なこと)
に引っ張られて、その人のすべてが完璧であるかのように感じてしまう心の動きです。
大好きな人が完璧に見えるほど、
その対極にいる自分の欠点ばかりが、
浮き彫りになってしまいます。
彼があんなに素晴らしいのだから、
隣にいる私も同じくらい素晴らしくなければいけないと、
無意識のうちに自分へ、
高いハードルを課してしまうのです。
「見捨てられるかもしれない」という恐れのサイン
釣り合いが気になる気持ちの奥底には、
未来への不安が隠れています。
「こんな私では、いつか愛想をつかされてしまうのではないか」
という、見捨てられることへの恐れです。
自分に対する自信が揺らいでいるとき、
人は相手と自分を比較することで、
関係の「安全度」を測ろうとします。
もし二人が完全に釣り合っていれば、
相手はどこかへ行ってしまわないはずだ。
そんなふうに無意識のうちに、
関係を安定させるための「保証」を探しているのです。
不安を感じること自体は、
悪いことではありません。
それはあなたが、
この恋をそれだけ大切に守りたいと、
願っている証拠でもあるからです。
心理学から見る、恋の「マッチング」と心の価値
「似た者同士」という呪縛
恋愛の心理学には、
「マッチング仮説」という考え方があります。
人は自分と身体的魅力や社会的地位が、
同程度の相手をパートナーに選びやすい、
という傾向を示すものです。
この言葉だけを聞くと、
「やっぱり釣り合いが取れていないとうまくいかないんだ」
と不安になってしまうかもしれません。
周囲の友人たちを見渡しても、
似たような雰囲気のカップルが、
多いように見えることもあるでしょう。
しかし、これはあくまでも、
目に見えやすい部分での話です。
人の心と心が惹かれ合う理由は、
条件の羅列だけで説明できるほど、
単純なものではありません。
あなたが相手のことを、
条件だけで好きになったのでないように、
相手もまたあなたのことを、
目に見える条件だけで好きになったわけではない、
ということがもちろんあるわけです。
目に見えない「心の価値」の交換
恋愛関係が長く続くカップルは、
目に見える条件ではなく、
目に見えない「心の価値」を交換し合っています。
これは「社会的交換理論」、
と呼ばれる考え方に基づいています。
たとえば、社会的な地位が高く、
いつも気を張って仕事をしている相手がいるとします。
その人にとって、
あなたの穏やかな笑顔や、
一緒にいるときの飾らない時間は、
どんなステータスにも代えがたい、
「安心」という価値を持っているかもしれません。
外から見れば「釣り合わない」、
と評されるような二人であっても、
お互いの心が満たされているのなら、
そこには確かなバランスが存在しています。
相手があなたと一緒にいることを選んでいるという事実こそが、
あなたの持つ「心の価値」の証明なのです。
「釣り合わない」という不安が教えてくれること
相手への深い尊敬の気持ち
釣り合わないかもしれないと悩むのは、
あなたが相手のことを、
心から尊敬しているからです。
相手の長所や魅力をしっかりと見つめ、
その価値を認めているからこそ、
「自分もそれにふさわしい存在でありたい」という願いが生まれます。
相手を軽んじているのなら、
釣り合いのことなど気にも留めないはずです。
自分の至らなさに目が向くのは、
あなたが恋人のことを深く愛し、
その存在を誰よりも尊いものとして受け止めているからです。
傷つくことを前もって防ごうとする本能
また、「私なんかが」とあらかじめ、
自分を低く見積もっておくことは、
心が深く傷つくのを防ぐための防衛本能でもあります。
万が一、関係がうまくいかなくなったとき、
「やっぱり釣り合っていなかったんだ」
と理由をつけることができれば、
失恋のショックを少しだけ和らげることができます。
あなたの心は、
悲しみに押しつぶされないように、
必死であなた自身を守ろうとしているのです。
その健気な心の働きを、
まずは優しく受け止めてあげてください。
「もったいない」という思い込みを少しずつ手放すヒント
相手の「選んだ理由」をそのまま受け取る
自信がないときに、
私たちは相手の愛情を疑ってしまいがちです。
「本当は私の欠点に気づいていないだけではないか」
「いつか幻滅されるのではないか」などと。
けれど、相手は大人です。
自分の意思で、
あなたと一緒にいることを選んでいます。
あなたが自分の嫌いな部分をたくさん知っているように、
相手もあなたの不器用なところや、
弱いところを見た上で、
それでも隣にいることを選んでくれているのです。
「私なんかが」という言葉で、
相手の選択を否定しなくても大丈夫です。
「相手は私を選んでくれている」という事実を、
手のひらにそっと乗せるように、
そのまま受け取ってみてください。
相手はきっと、
完璧な人を探していたわけではありません。
あなたと一緒にいるときの空気感、
あなたの笑顔、あなたの言葉。
そういった目に見えない、
「あなたらしさ」に惹かれているのです。
「相手が好きになってくれた自分」を、
そのまま受け入れてみましょう。
比べる対象を「外側の基準」から「二人の内側」へ
学歴、収入、ルックス、家柄。
これらはすべて、社会という、
「外側の基準」で作られたものさしです。
外側の基準で自分たちを測ろうとすると、
いつまでたっても不安は消えません。
どんな基準でも上には上がいて、
絶対的な安心を得ることはできないからです。
意識の矢印を、
二人の「内側」に向けてみましょう。
一緒にいるときに、
相手はどんな表情をしていますか。
あなたと話すとき、
どんな声のトーンになりますか。
相手がホッと息をつく瞬間や、
無防備な笑顔を見せてくれる瞬間。
そこにある温かい空気こそが、
二人の関係の真実です。
表面的な「釣り合い」は、
長い時間を一緒に過ごす上では、
実はそれほど重要ではありません。
それよりも大切にしたいのは、
二人で居るときの「居心地の良さ」です。
一緒にいて安心できるか。
沈黙があっても苦しくないか。
お互いに無理をせず、自然体で笑い合えるか。
外側の基準ではなく、
お互いの心と心のバランスや、
二人の間に流れる穏やかな時間に目を向けてみてください。
完璧ではない自分に、そっと寄り添う
釣り合う自分になろうとして、
無理に背伸びをする必要はありません。
足りないものを埋めようと必死になる恋は、
いつか息切れしてしまいます。
不安が大きくなると、
自分の良いところが見えなくなってしまいます。
相手の素晴らしいところは、
100個でも見つけられるのに、
自分の魅力は1つも見つけられない。
それは、あなたの心が、
「自分を小さく見積もる癖」
に囚われているからかもしれません。
あなたが気づいていないだけで、
あなたにはたくさんの魅力があります。
相手は、その魅力に気づいているからこそ、
あなたのそばにいるのです。
完璧な人間などいません。
相手だってきっと、
外からは見えないような、
弱さや不安を抱えているはずです。
あなたが自分の弱さを認め、
不器用な自分にそっと寄り添うことができれば、
相手の弱さにも同じように、
寄り添うことができるようになります。
ありのままの自分を許すことは、
相手をありのまま愛することに繋がっていきます。
凸凹なままで、二人のバランスを見つけていく
恋の「釣り合い」とは、
天秤に同じ重さの重りを乗せるようなものではありません。
パズルのピースのように、
お互いの凹凸が噛み合うことで、
不思議とまっすぐに立てる関係があります。
あなたが持っていないものを相手が持ち、
相手が持っていないものをあなたが持っている。
そうして補い合い、
支え合っていくのが、
二人のバランスの取り方です。
「釣り合わないかも」という、
関係への不安の波が押し寄せてきたら、
無理にその波を消そうとしないでください。
「ああ、私は今、相手を失うのが怖いくらい好きなんだな」
と、ただ自分の気持ちを眺めてみましょう。
それでも不安になったら、
相手の目を見て、
その温もりに触れてみてください。
言葉にならなくても、
あなたが相手を想うその気持ちだけで、
十分に二人は釣り合っているのです。
「相手にふさわしい人間にならなきゃ」と、
焦って自分を磨こうとすることも、
もちろん時には素敵な原動力になります。
けれど、無理をしてまて、
自分ではない誰かになろうとする必要はありません。
背伸びをして疲れ果ててしまうより、
あなたがあなたらしく、
穏やかに笑っていること。
それが相手にとって、
何よりの喜びになるはずです。
不安になってしまう夜は、
この場所に戻ってきてください。
あなたの気持ちを整理して、
心が少しでも軽くなるように。
今は無理に前向きにならず、
まずは今のあなたのままで、
深く深呼吸をしてみましょう。
あなたは、あなたのままで十分に素敵です。
少しずつ、自分のペースで、
相手からの愛情を信じる練習をしていきましょう。
私がここから、応援しています。



