今日の夕飯、何にする?
「どこでもいいよ」
次の旅行、どこに行きたい?
「任せるよ」
そんな日常のやり取りから、
同棲や結婚といった、
将来の大きな選択まで。
恋人がなかなか決断してくれないと、
最初のうちは「優しい人だから」、
そう思えていた気持ちも、
少しずつ重たい疲労へと変わっていくことがあります。
自分の意見を尊重してくれる、
それ自体は嬉しいけれど、
いつも自分が決めなければいけないという状況は、
知らないうちに心をすり減らします。
二人のことなのに、
まるで自分ひとりだけで、
関係を前に進めているような、
孤独を感じてしまうこともあるでしょう。
ふたりにとって大切なことなのに、
相手が答えを出してくれないと、
自分は本当に大切にされているのかなと、
不安になるのは当然のことです。
待つことには、
とても大きなエネルギーが必要です。
相手の言葉を信じて待ち続けるべきか、
それとも自分から何か行動を起こすべきか。
毎日揺れ動く気持ちの中で、
あなたは一生懸命に、
バランスを取ろうとしてきたはずです。
このコラムはそんなふうに、
「恋人が決断してくれない」と悩み、
疲れてしまったあなたのための場所です。
無理に前向きになるのではなく、
すぐに白黒つけるのではなく、
まずは、ここで少しだけ立ち止まって、
張り詰めた糸をゆるめてみませんか。
あなたのその、
もやもやした気持ちを整理して、
落ち着いて考えるための、
お手伝いをさせてください。
どうしてこんなに苦しいのか、自分の心を見つめる
相手が決断してくれない状況は、
なぜこれほどまでに、
心を消耗させるのでしょうか。
それは単に「答えが出ないから」、
それだけではありません。
その背後にある、あなた自身の、
隠されてしまった感情に、
目を向けてみましょう。
「待たされている」という感覚がもたらす無力感
一番苦しいのは、
自分の人生の重要なステップが、
相手の保留によって、
「ストップさせられている」と感じることです。
自分がどれだけ真剣に考えて、
これからの準備をしていても、
相手の「うん」という言葉がなければ、
前に進むことができません。
こんな状態は、
あなたから人生のコントロール権を奪い、
強い無力感を与えます。
自分の人生は、
相手の気分次第なのかな?
そんな疑問が頭をよぎるたびに、
悲しみが押し寄せてくるかもしれません。
あなたが感じているその悲しみは、
自分のこれからを大切に考えて、
真剣に生きようとしているからこそ生まれる、
真摯さの裏返しだと言えます。
未来が見えないことへの不安
私たち人は、
これから先どうなるのかが分からない、
あいまいな状態に置かれると、
強いストレスを感じる生き物です。
決断してくれない恋人の隣にいると、
「このままずっと同じ場所で足踏みをするのかもしれない」
という不安が常に付きまといます。
周りの友人たちが次々と、
ライフステージを進めていくのを見ることで、
余計に焦りが募ることもあるでしょう。
「私だけが取り残されている」という孤独感。
それは決して、
あなたが一人で抱え込むべきものではありません。
不安を感じる自分を責めずに、
「今は未来が見えなくて怖いんだな」と、
あなたが悪いわけではないことを、
認識しなおしてあげてください。
決断できない恋人の心にある「恐れ」
恋人が決断を避けるとき、
そこには悪気や無関心があるとは限りません。
むしろ、何かを選ぶことへの、
強い恐れが隠れていることが多いのです。
相手の心の中にある見えない壁について、
いくつか考えられる可能性を整理してみましょう。
失敗や責任を引き受けることへの怖さ
決断力がない人の多くは、
「間違えたらどうしよう」という不安を、
人一倍強く抱えています。
自分が選んだお店が美味しくなかったら。
自分が決めた旅行先で、
あなたが退屈してしまったら。
そんなふうに、
自分の選択が引き起こす結果に対して、
過剰に責任を感じてしまうのです。
このタイプの人は、
完璧主義な一面を持っていることも、
少なくありません。
「正解」を選ばなければならない、
というプレッシャーから逃れるため、
結果として「自分で決めない(相手に委ねる)」という選択をして自分を守っています。
「現状維持」のほうが安全だという心理
私たち人間には、
変化を避けて今の状態を保とうとする、
「現状維持バイアス」という心理が働きます。
特に結婚や転職、引越しといった、
大きなライフイベントにおいては、
この心理が強く作用します。
このままでよくない?
と思ってしまう心理と言えるでしょう。
それは悪意からではなくて、
今の関係が心地よいからこそ、
それを変えることで、
何かが壊れてしまうのではないかという、
無意識の恐れだとも言えます。
「あなたとの未来を考えていない」
のではなくて、
「今ある幸せを失いたくない」
という不器用な愛情の裏返しかもしれません。
あなたへの甘えと依存
長く一緒にいるカップルに見られがちなのが、
無意識のうちに作られた、
「決める人」と「従う人」という、
いつのまにかできた役割分担です。
あなたがしっかり者で、
いつもスムーズに物事を進めてくれる。
今まで決めてこなくても、
あなたがなんとかしてきてくれた。
そんな関係の中で相手は、
「あなたが決めたほうが上手くいく」
そう信じ込んでいる場合があります。
これはある意味では、
深い信頼関係があるとも言えますが、
自分の頭で考えることを放棄している、
甘えの状態とも言えるでしょう。
決断疲れ。あなたの心が抱える重荷
恋人が決断してくれないとき、
一番負担を強いられているのは、
いつも選択を任されるあなた自身です。
ここで少し、
あなた自身の心に目を向けてみましょう。
日常の「小さな選択」が蓄積する疲労
私たちの脳は、
一日のうちに限られた回数しか、
エネルギーを使って、
決断することができません。
これを心理学では「決断疲れ」と呼びます。
日常の仕事や人間関係で、
たくさんの決断をしてきているのに、
プライベートな時間までも、
いつ会って、どこに行くか、何を食べるか、
すべてあなたが決めなければならない。
そんな状態が続けば、
相手と一緒にいること自体が、
「タスク」のように感じられてしまい、
疲れてしまうのは当然のことです。
孤独感と愛情への疑い
「どうして私ばかりが悩んでいるんだろう」
「ふたりのことなのに、真剣に考えてくれないのは愛情が足りないから?」
決断の負担が偏ると、
ただ疲れるだけではなくて、
相手の愛情そのものを疑ってしまうことがあります。
同じ舟に乗っているはずなのに、
自分だけが必死に、
オールを漕いでいるような孤独感です。
そのモヤモヤとした感情は、
我慢すればするほど、
心の中に重く積み重なっていきます。
優柔不断な恋人との向き合い方
相手の心理と自分の疲れ。
その両方が見えてきたら、
少しだけ関わり方を変えてみることで、
関係性がふっと軽くなることがあります。
無理に相手を変えようとするのではなく、
お互いが心地よくいられるための、
小さな工夫を試してみても、
いいのかもしれません。
「何がいい?」を「AかB、どっちがいい?」に変える
ゼロから何かを生み出す決断は、
優柔不断な人にとって、
最もハードルが高い行動です。
「週末どこ行く?」
と、白紙の質問を投げるのではなく、
「映画と水族館、どっちに行きたい?」
と、選択肢を絞ってあげてみてください。
二者択一にするだけで、
相手は「選ぶ」という行動に、
集中しやすくなってくれます。
まずは小さな選択から、
成功体験を積んでもらうことが、
関係を少しずつ変えていく第一歩になります。
期限を決めて、静かに待つ
二人の将来のことなど、
すぐに答えが出せないかもしれない、
とても大きな決断については、
あらかじめ期限を設けることが有効です。
「来月の終わりまでに、同棲するかどうか答えを出してほしい」
と要件を伝えたら、
あとはその日までその話題に触れず、
相手が自分の頭で考える時間を確保してあげる、
といった行動です。
急かすと相手はパニックになり、
かえって重要な決断から、
逃げてしまうかもしれません。
期限を決めることは、
相手に責任を持たせると同時に、
あなた自身も、
その期限までは悩まなくていい、
と、心を休めるための境界線でもあります。
主語を「私」にして気持ちを伝える
「どうしてあなたはいつも決めてくれないの?」
このような言葉を使うと、
相手を責める響きを持ってしまいます。
人は責められると委縮してしまうし、
あなただって、
相手を責めたくないからこそ、
悩んでいるのかもしれません。
気持ちを伝えるときには、
「私は、あなたと一緒に考えて決めていきたい」
「私が全部決めると、疲れてしまう」と、
自分の感情を主語(アイ・メッセージ)にして伝えてみましょう。
相手は攻撃されたと感じずに、
あなたの言葉をSOSとして、
素直に受け取りやすくなります。
自分自身の行動を振り返る時間
相手の態度に悩んだとき、
ほんの少しだけ、
自分自身のこれまでの振る舞いを、
振り返ってみることも大切です。
そこに関係を紐解くヒントが、
隠れているかもしれません。
相手の選択を否定していませんでしたか?
思い返すと、過去に相手が、
勇気を出して決めてくれたことに対して、
「えー、こっちのほうが良くない?」
「そのお店、前も行ったじゃん」と、
無意識のうちにダメ出しをしてしまったことはないでしょうか。
決断に自信がない人は、
自分が提案したものを一度否定されると、
「自分が決めないほうがいいんだ」
と深く傷ついてしまって、
次から意見を言えなくなってしまいます。
あなたがそう言ったことにも、
もちろん悪気はなかったかもしれませんが、
小さな挫折一発で、
もうだめと考えてしまう人もいます。
たとえ100点満点の選択でなくても、
「決めてくれてありがとう」と、
まずはその提案を受け止めてみる姿勢が、
相手の自信を育てていきます。
待つことができず、先回りしていませんか?
相手がゆっくり考えている間に、
沈黙や保留の状態に耐えきれず、
つい「じゃあ私が決めるね」と、
先回りしてしまっていないでしょうか。
あなたが素早く決めてしまうことで、
相手は「自分が決断する機会」を、
奪われているのかもしれません。
決断の速度には個人差があります。
あなたがとても決断が早いタイプで、
相手が真逆のときには、
どちらに悪気がなくても、
かみ合いが悪くなってしまうときもあります。
時にはぐっとこらえて、
相手から答えが出てくるのを、
「待ってあげる」という選択も、
「決めてくれない関係性」を変えるためには、
必要なことかもしれません。
大切な決断をふたりでしていくために
恋人が決断してくれない、
このような悩みは、
決してあなたがひとりだけで抱え込むべき問題ではありません。
二人のことは、
二人で考えるのが当然です。
あなたばっかり決断することに、
疲れてしまっているのなら、
今は「ふたりで答えを出していく方法」を、
まだ見つけられていないだけなのです。
まずは、いつも決断してばかりで、
疲れてしまった自分の心を、
やさしく休ませてあげてください。
そして「私は本当はどうしたいのか」
それを自分自身に問いかけてみましょう。
相手が決断してくれない時間は、
暗く長いトンネルのように感じるかもしれません。
でも、そのトンネルの中でじっと、
しゃがみこんでしまう必要はありません。
相手には相手のタイミングがあり、
あなたにはあなたのタイミングがあります。
どうしても歩調が合わないのなら、
その時はまた、
落ち着いて考えればいいのです。
焦らずに少しずつ、
お互いが無理なく歩み寄れる、
そんなペースと距離感を、
これから探していけばいいのです。
あなただけが、
疲れてしまう必要はありません。
あなたと相手、二人が心穏やかに、
ふたりの未来を描けるようになることを、
ここから応援しています。



