恋をしていると、
相手のことが何よりも大切に思えてきます。
大好きな相手の笑顔が見たくて、
つい無理をしてしまったり。
嫌われたくなくて、
自分の本音をぐっと飲み込んでしまったり。
誰かをそこまで深く愛せることは、
とても優しくて素敵なことです。
あなたのその思いやりは、
決して間違ったものではありません。
けれど、その優しさが少しずつ積もり重なって、
いつの間にか「自分の本当の気持ち」が、
分からなくなってしまうことがあります。
そんな苦しさを誰かに相談したとき、
「もっと自分を大切にしたほうがいいよ」
と、言われた経験があるかもしれません。
よく聞く言葉ですよね。
でも、「自分を大切にする」って、
恋愛においては具体的に、
どういうことなのでしょうか。
わがままになること?
相手を突き放すこと?
いいえ、そうではありません。
「自分を大切にする」ということは、
あなたがあなた自身の心の、
一番の味方でいてあげるということです。
このコラムは、
恋の中で自分を見失いそうになっている、
そんな方へ向けて書くものです。
相手を愛するのと同じように、
自分自身のことも愛するための、
心の整理のお手伝いができればと思います。
恋をしていると、自分のことが後回しになってしまう
大好きな人と一緒にいるとき、
私たちは無意識のうちに、
自分の感情よりも、
相手の感情を優先してしまうことがあります。
それは、相手を失うことへの怖さや、
好かれたいという純粋な願いから来るものです。
相手を優先することが「愛」だと思い込んでいませんか?
彼がハンバーグを食べたいと言ってる。
私はパスタの気分だったけどハンバーグにしよう。
本当は疲れていて今日は家で休みたい。
でも彼女が会いたいと言ってくれたから、
ちょっと無理してでも出かけよう。
こうした小さな譲り合いは、
二人の関係をスムーズにするための、
潤滑油になることは確かです。
恋愛関係において、
歩み寄ることはとても大切です。
でもそれが「いつも」になってしまうと、
少しずつ心の中に、
小さなモヤモヤが溜まっていきます。
相手の希望を叶えることこそが、
愛情示す唯一の手段であり、
自分の希望を押し殺すことが優しさだ。
そんなふうに思い込んでしまうと、
恋は次第に息苦しいものに変わってしまいます。
相手の喜ぶ顔を見るのは嬉しい、
はずなのに、なぜか心が満たされない。
愛し合っているはずなのに、
ひとりでいるときよりも深い孤独を感じてしまう。
もし関係のなかにそんな感覚があるのなら、
それはあなたの心が、
「私のこともちゃんと見てほしい」
と、小さなSOSを出しているサインです。
「嫌われたくない」という恐れが本音に蓋をする
自分を後回しにしてしまう背景には、
「ありのままの自分を見せたら、嫌われてしまうかもしれない」
という強い恐れが隠れています。
過去の恋愛で傷ついたことや、
幼い頃からの環境などが影響して、
「役に立つ自分でないと愛されない」とか、
「相手に合わせてこそ価値がある」
と、深く信じ込んでいることがあります。
そのため無意識のうちに、
相手にとっての理想の恋人を演じてしまい、
本来の自分が求めている心地よさや、
安心感を犠牲にしてしまうのです。
もちろん恋に正解はないですが、
恐れをベースにした関係には、
いつか必ず無理が生じてしまいます。
相手に愛されるために、
自分を消してしまうことは、
自分ばかりがつらさを背負ってしまい、
本当の意味での絆を、
育むことには繋がりにくいのです。
「自分を大切にする」とは、どういう状態なのでしょうか
では恋愛関係のなかで、
「自分を大切にする」とは、
具体的にどのような状態なのでしょうか。
相手を蔑ろにして自分勝手に振る舞う、
ということでは、もちろんありません。
自分の「快」と「不快」を静かに認めてあげること
自分を大切にする第一歩は、
自分の中に湧き上がる感情を、
ジャッジせずにそのまま認めてあげることです。
「いま、私は無理をしている」
「こういう言葉をかけられると、私は悲しくなる」
「本当は、もっと連絡がほしい」
ポジティブな感情も、
ネガティブな感情も、
すべてあなたの大切な一部です。
「こんなことを思ってはいけない」
「重い女(男)だと思われてしまう」
と、自分の感情を否定するのではなく、
「自分は今、そう感じているんだね」
と、そっと寄り添ってあげられること。
自分の気持ちを無視しないことが、
自分を大切にするということです。
自分の心が何を感じているのか、
それを知ることが、
自分を大切にする始まりになります。
相手の機嫌と、自分の機嫌を切り離すこと
恋愛関係のなかでは、
相手の感情と自分の感情の境界線が、
曖昧になってしまうことがあります。
相手が不機嫌そうにしているときに、
「これは私のせいかもしれない」
「私がなんとかして機嫌を直さなきゃ」
と、焦ってしまったことはありませんか。
つまり相手の感情の責任まで、
あなたが背負い込んでしまう状態です。
心理学ではこれを、
「心の境界線(バウンダリー)が引けていない」
と、表現することがあります。
自分を大切にできている状態というのは、
この境界線が健やかに保たれている状態です。
相手がいま不機嫌なのは、
相手の問題であって私のせいではない。
相手をコントロールすることはできないから、
私は私の機嫌をとることに集中しよう。
これを文字だけで見ると、
すこし冷たく感じるかもしれませんが、
感情の責任を相手に返すことは、
お互いを自立した個人として尊重する、
とても大切な愛し方なのです。
自分を大切にできていないときに出る、心のSOSサイン
自分が無理をしていることには、
意外と自分自身では気づきにくいものです。
日常のささいな瞬間に、
心が発しているサインに気づくための、
ポイントをいくつか整理してみましょう。
言いたいことを飲み込んで、いつも笑顔を作ってしまう
相手と意見が食い違ったときや、
その対応に不満を感じたとき。
「ここで私が我慢すれば波風が立たないから」
と、瞬時に笑顔を作って、
その場をやり過ごしていませんか。
争いを避ける平和主義な態度は、
人としてのあなたの長所でもあります。
だけれど、
怒りや悲しみを飲み込み続けると、
次第に「自分が何をしたいのか」すら、
分からなくなっていきます。
不満をただやりすごすことは、
次の新たな不満を生み出すことにも、
つながりやすいです。
作った笑顔の裏側で、
ぎゅっとされた心が耐える小さな痛みに、
どうか気づいてあげてください。
連絡の頻度で、自分の価値が揺らいでしまう
LINEの返信が遅いから、
もう私のこと好きじゃないのかな?
既読がつかない。
何か怒らせるようなこと言っちゃった?
相手の反応ひとつで、
自分の存在価値が上がったり、
下がったりするように感じるのは、
自分の価値を決める心の軸が、
相手に明け渡されてしまっている状態です。
相手からの連絡というのは、
愛情表現の方法のひとつではありますが、
あなたの価値を決めるものではありません。
相手の行動に心が振り回されすぎて、
何も手につかないほどであれば、
かなり心が疲れてしまっていると言えます。
相手の好みに合わせて、自分の好きなものを手放してしまう
髪型や服装を相手の好みに寄せて、
それ好きだよと褒められたりすることは、
恋の楽しみのひとつです。
しかしそれが、
好みではなかった場合。
「そういう服は好きじゃない」
と、相手が言ったからといって、
本当は大好きだったはずのファッションを、
封印してしまっていませんか。
自分が楽しむことを後回しにして、
相手が気に入るかどうかだけで、
身なりを決めてしまっている状態です。
趣味や時間の使い方も同じです。
相手と一緒に過ごすために、
大切にしていたひとりの時間や、
友人との予定をすべてキャンセルしてしまう。
自分の世界を削ってまで、
相手の世界に染まろうとすることは、
それも愛の形ではありますが、
少しずつ「自分の輪郭」をぼやけさせてしまいます。
自分を大切にするための小さなステップ
恋愛の中で自分を取り戻して、
大切にするための、
具体的なステップをお伝えします。
急に大きな変化を起こすのではなくて、
ほんの少しの行動から、
気持ちを整理していくことができます。
「私はどうしたい?」と心に問いかける癖をつける
まずは日常の小さな選択から、
主語を「私」に戻す練習をしてみましょう。
「彼(彼女)はどうしたいかな?」と考える前に、
「私は、今何を食べたいかな?」
「私は、今日どこに行きたいかな?」
と、自分自身に問いかける時間を作ります。
たとえ結果的には、
相手の希望に合わせたとしても、
「私はAが良かったけれど、今日は相手の喜ぶ顔が見たいからBを選ぶ」
と、自分で納得して選ぶことが重要です。
「流される」のと「自分で選ぶ」のとでは、
心に残る感覚がまったく違います。
嫌なことは「嫌だ」と、小さなことから伝えてみる
本音を伝えるのは、
とても勇気のいることです。
嫌われてしまうかもしれない、
という不安が頭をよぎるかもしれません。
だからこそ、
関係が壊れないと確信できるような、
本当に小さな「NO」から、
相手に伝えてみてください。
「今日は少し疲れているから、早めに帰りたいな」
「その言い方は、少し悲しかったな」
相手を責めるのではなく、
「私は」こう感じた、というアイメッセージ
(「私」を主語にした伝え方)で伝えると、
喧嘩になりにくいし、
相手も受け入れやすくなります。
あなたの素直な気持ちを知ることは、
相手にとってみても、
これからのあなたを大切にするための、
大きなヒントになるのです。
ひとりで過ごす時間を、あえて作ってみる
恋人ができると、
週末はすべてデートに充ててしまう、
という方も多いかもしれません。
ですが、自分を大切にするためには、
自分だけのために使う、
「空白の時間」というのがとても重要です。
好きなカフェで本を読む時間とか。
ゆっくりお風呂に浸かって、
自分を特別にケアする時間とか。
ただベッドでぼーっとするだけ。
誰の目も気にせずに、
誰の期待にも応えなくていい時間。
そんな時間を持つことで、
相手に預けきっていた心の軸が、
少しずつ自分の中に戻ってきます。
離れている時間があるからこそ、
次に大好きな人に会ったとき、
相手との時間をより新鮮に、
楽しむことができるようになります。
自分の感情をノートに書き出して整理する
関係についての不安やモヤモヤで、
頭がいっぱいになってしまった夜には、
その気持ちをノートやメモのアプリに、
そのまま書き出してみてください。
「本当はもっと優しくしてほしかった」
「連絡が来なくて寂しかった」
誰に見せるわけでもないノートです。
見せたくないような感情でも、
文章になっていない言葉でも構いません。
実際に文字にして外に出すことで、
絡まり合っていた感情が可視化されて、
客観的に受け止めることができます。
書いてみるという行為は、
落ち着いて考えることを手伝ってくれる、
強力なツールだと言えます。
気持ちを書いて消すだけのページを、
このサイトの中にも用意してあります。
気持ちを書き出すための場所 – 恋、どう思う?
自分を大切にすると、ふたりの関係はどう変わるのか
自分を優先することで、
相手が離れていってしまうのではないか。
そんな不安を抱かれるかもしれません。
しかし実際には、
あなたが自分を大切にすればするほど、
ふたりの関係はより風通しが良く、
穏やかなものへと変わっていきます。
我慢のない関係は、お互いの心を自由にする
あなたが無理をして笑っているとき、
実は相手のほうでも無意識に、
その無理を感じ取っていることが多いものです。
我慢の上に成り立つ関係は、
いつもどこか緊張感があって、
お互いにリラックスしきれません。
あなたが素直に、
「イヤなものはイヤ、嬉しいものは嬉しい」
と、表現できるようになると相手も、
「自分の前では無理をしないでいてくれている」
と、安心することができます。
自分を大切にすることは、
相手に安心感をプレゼントすることでもあるのです。
対等なパートナーシップが育まれる
自分を満たすことを相手に依存しなくなると、
「あなたがいないと生きていけない」
という、重い執着から抜け出すことができます。
私は一人でも幸せに生きられるけれど、
あなたといると『もっと』幸せだから一緒にいる。
そんなふうに思えるようになれば、
関係は劇的によいものに変わっていきます。
どちらかが一方的に尽くすのではなく、
お互いの存在を尊重し合いながら、
ふたり寄り添いあって生きていく。
そんな形の関係こそが、
成熟した大人同士の恋愛であり、
パートナーシップを長く保つための、
土台となるのではないでしょうか。
あなたの心を守れるのは、あなただけ
恋の中ではどうしても、
大好きな相手のことで、
視界がいっぱいになってしまいます。
二人の関係が続いていく中では、
不安や迷いが生まれたり、
言葉にしづらい感情が押し寄せて、
眠れない夜を過ごすこともあるでしょう。
そんなときには、
どうか一度立ち止まって、
自分自身を抱きしめてあげてください。
相手に注いできたその大きな愛を、
ほんの少しだけ、
自分自身に向けてみてください。
あなたの感情は、
あなたに与えられたものです。
あなたの心を守り、
満たすことができるのは、
最終的にはあなた自身しかいません。
すぐになにかを変えようと、
焦ってしまう必要はありません。
まずは自分の気持ちを大切にすること、
それに気づくことができれば、
そこから少しずつ、
選ぶ道を考えてゆくことができます。
あなたが自身を大切にしながら、
これから歩んでいく恋の道は、
きっと温かく、穏やかな光に包まれているはずです。
焦らず、自分のペースで。
今日から少しずつ、
「自分を大切にする」ことを始めてみませんか。



