大好きだった人と離れることは、
心にとって本当に大きな出来事です。
涙が止まらなくなったり、
何も手につかなくなったりするのは、
本気の恋のあとにこそ起こることでしょう。
失恋の痛みは、
すぐに消えるものではありません。
それでも心理学の世界では、
大きな悲しみやつらい経験を乗り越えたあとには、
以前よりも人として深く、
優しく成長できることがわかっています。
これは「心的外傷後成長」とも呼ばれる、
人間の心が持つしなやかな力です。
このコラムでは、失恋という悲しみを経て、
それでも「成長していく人」には、
どのような特徴があるのか、そして、
傷ついた心を休ませながら、
無理なく前を向くために意識したいこと、
今は避けたほうがいいことをお伝えします。
あなたのペースで、
ゆっくりと読み進めてみてください。
失恋後にどうしても自分を責めてしまうときには、
こちらも併せて読んでみてください。

どうして失恋はこれほどまでに苦しいのでしょうか
失恋をして胸が痛むとき、
早く立ち直らないといけないと思って、
焦ってしまうことはありませんか。
でも、その苦しみには、
きちんとした理由があります。
それを自分で理解してあげて、
焦らなくてもよいのだと思えることが大切です。
心の痛みは、体の痛みと同じだから
失恋による「心の痛み」を感じているとき、
人間の脳は「体が物理的に傷ついたとき」と、
同じ領域が反応していることがわかっています。
つまり失恋の痛みは、骨折をしたり、
大きなケガをしたりしたときと同じくらい、
脳にとっては重大なダメージなのです。
ケガをしたときに、
無理をして走ろうとする人はいません。
それと同じように、
心がケガをしている今は、無理に笑ったり、
すぐに立ち直ろうとしたりしなくていいのです。
まずは、痛くてつらい、
自分の心に寄り添ってあげることが大切です。
喪失感は、愛着の深さの裏返し
好きな人と一緒にいるとき、私たちの脳内には、
安心感や幸福感をもたらしてくれる、
関係性のホルモンが分泌されています。
失恋とは、その安心の源が、
突然なくなってしまう状態です。
寂しくてたまらなくなるのも、
相手のことを何度も思い出してしまうのも、
心が自然な反応をしているだけなのです。
いつまでも引きずってしまうことで、
自分を責める必要はありません。
それだけ深く人を愛することができたという、
温かい心の証明が、その喪失感なのです。
失恋のあとに「成長していく人」が持っている特徴
つらい別れのあとに、
時間をかけて少しずつ立ち直って、
人間として大きく成長していく人がいます。
そのような人たちには、
いくつかの共通する特徴があります。
それは特別な才能ではなくて、
誰の心の中にもある小さな種のようなものです。
自分の感情を否定せず、そのまま受け止められること
失恋後に成長していく人は、
「悲しい」「寂しい」「悔しい」といった、
ネガティブな感情に蓋をしません。
泣きたいときには思いきり泣いて、
苦しいときには「苦しい」と素直に認めます。
感情は、無理に抑え込もうとすると、
かえって心の奥底でくすぶり続けてしまいます。
自分の素直な気持ちを否定せず、
「今はこれでいいんだ」と受け止められる人は、
結果的に心を回復させるスピードも早くなって、
次のステップへと進む力を持つことができます。
立ち直るために悲しめる、強さがあるのです。
相手を責めるのではなく、自分を見つめ直すことができる
別れの原因をすべて相手のせいにしたり、
逆に自分ばかりを責めてしまったり、
そういった極端な思考に陥らないのも、
失恋後に成長する人の特徴だと言えるでしょう。
時間が経って、心が少し落ち着いてきたころに、
「あのとき、どうすればよかったのかな」
「二人の関係から何を学べたかな」と、
自分を見つめ直す時間を持つことができるのです。
この振り返りができる人は、
次の恋愛や人間関係において、
同じつまずきを繰り返さずに、
より深い絆を築けるようになります。
恋愛以外の時間に、小さな喜びを見つける
恋人を中心にして回っていた生活。
それはそれで幸せではありますが、
そこから少しずつ離れていって、
自分自身の人生に目を向けられるようになる、
ということも大切な変化です。
失恋後に成長していく人は、恋愛以外の日常に、
小さな楽しみを見つけるのが上手です。
美味しいコーヒーを淹れること、
新しい本を読むこと、
気になっていた趣味を始めてみること。
そうやって「自分を喜ばせる時間」を、
少しずつ増やしていくことで、
恋愛に依存しすぎない、精神的に自立した、
しなやかな心を取り戻していきます。
心を成長させるために、少しずつ意識したいこと
心がケガをしている状態から、
少しずつリハビリをしていくように。
無理のない範囲で、日常生活の中で、
意識してみたいことをいくつかご紹介します。
体のケアを最優先にする
心と体は繋がっています。
心がとても疲れているときは、
体も同じように疲労しています。
今は、自分を甘やかしてあげてください。
栄養のある、あたたかい食事をとる。
肌触りの良いパジャマを着て、たっぷりと眠る。
太陽の光を浴びて、少しだけ深呼吸をする。
そんな当たり前のことが、
心を回復させるための大切な土台になります。
よく眠れない夜には、
無理に眠ろうとしなくても大丈夫です。
あたたかいミルクを飲んで、
ただ横になっているだけでも、体は休まります。
信頼できる人に話を聞いてもらう
ひとりで抱えきれない悲しみは、
誰かに少し分けさせてもらいましょう。
信頼できる友達や家族に、話を聞いてもらうのです。
アドバイスをもらう必要はありません。
「ただ話を聞いてほしい」と伝えて、
思いを口にするだけでいいのです。
誰かが自分の気持ちを受け止めてくれる。
それだけで、心はずっと安心します。
もし、身近に話せる人がいない場合は、
カウンセラーなどの専門家に頼るのも良い方法です。
自分自身に一番優しくしてあげる
失恋したあとは、どうしても、
自己肯定感が下がってしまいがちです。
自分に魅力が足りないのかもと、
思い込んでしまうこともあるでしょう。
そんなときこそ、
「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」
を、意識してみてください。
大切な親友が失恋して泣いていたら、
あなたはどんな言葉をかけますか?
きっと、優しく慰めて、
温かい飲み物を渡してあげるはずです。
それと同じ優しさを、
どうか自分自身に向けてあげてください。
「よく頑張ったね、つらい思いをしたね」と、
自分で自分を抱きしめてあげる感覚です。
小さな区切りをつけながら、自分のペースで歩む
失恋の直後は、
何も手につかなくなることがあります。
起き上がるのも辛い。食事をするのも面倒。
そんなときは、本当に小さなことでいいので、
「できたこと」を認めてあげましょう。
朝、顔を洗えた。窓を開けて換気ができた。
お茶を淹れることができた。
そんな小さな行動のひとつひとつが、
「できた」を積み重ねる立派な一歩です。
自分を褒めて、優しく労わってあげてください。
いきなり「さあ、新しい恋を探そう!」と、
むりして意気込む必要はありません。
まずは、部屋の片付けをしてみる。
相手の連絡先を見えないところに移動してみる。
そうした、ほんの小さな「区切り」を、
積み重ねていくことでも十分です。
成長への道のりは、一直線ではありません。
3歩進んで2歩下がるような日も必ずあります。
それでも、昨日より今日、今日より明日と、
あなたの心は確実に前を向こうとしています。
自分のペースを大切にしてあげてください。
心を守るために、今は「しないほうがいいこと」
心が弱っているときは、無意識のうちに、
自分への追い打ちとなるような、
自分を傷つける行動をとってしまいがちです。
心の回復を妨げないために、
今はすこし避けておいたほうがいい行動も、
お伝えしておきます。
相手のSNSを無理に覗きにいくこと
どうしても別れた相手の近況が気になって、
SNSのアカウントを探したり、
投稿をチェックしたりしたくなる気持ちは、
痛いほどよくわかります。
でもSNSを見ることは、治りかけの心の傷口を、
自ら広げてしまうような行為です。
相手が楽しそうにしているのを見て、
なんでと思って落ち込んだり、
新しい出会いがあったのではないかと、
不安になったりで心が休まる暇がありません。
今は自分の心を守るために、
そっとミュートにしたり、
通知を見ない仕組みを作ったりして、
物理的な距離だけはでなく、
デジタルの距離も置くようにしましょう。
寂しさを埋めるためだけの新しい恋愛
ぽっかりと空いた心の穴を、
すぐに別の人で埋めようとするのは、
あまりおすすめできません。
寂しさから逃れるためだけに、
新しい恋愛に飛び込んだとしても、
本当の意味での心の傷は癒えていません。
無意識のうちに前の相手と比べてしまったり、
次に見つけた相手に必要以上に、
依存してしまったりすることがあります。
新しい恋は、あなたの心が十分に休まって、
「また誰かを大切にしたい」と、
自然に思えるようになってからでも、
決して遅くはありません。
「自分が悪かった」と自分を責め続けることはやめる
あんなこと言わなければよかった。
もっと優しくしていれば、
別れずに済んだかもしれない。
失恋のあとには、自分のしたこと、選択が、
すべて悪かったかのように思いがちです。
ですが、別れという結果は、
決してあなた一人だけの責任ではありません。
二人の間にある様々なタイミングや、
価値観の違いが重なった結果にすぎません。
過ぎてしまったことを何度も反芻して、
自分を罰し続けるのはもう終わりにしませんか。
きっとあなたは、そのときできる、
精一杯の愛情を注いでいたはずです。
その事実だけは、認めてあげてください。
あなたのペースで、また歩き出せる日が来ます
失恋の痛みは、波のように押し寄せてきます。
少し元気になったかと思えば、
また急に悲しみが溢れ出す日もあるでしょう。
行ったり来たりを繰り返す自分に、
嫌気がさすことがあるかもしれません。
それでも、大丈夫です。
失恋後における成長について、
こんなページにたどり着いたあなたですから、
きっとしっかりと回復に向かっています。
今はただ、自分の気持ちを整理して、
落ち着いて考える時間が必要です。
無理に前向きにならなくていい。
急いで立ち直る必要もありません。
たくさん泣いて、たくさん休んで、
自分に一番優しくしてあげてください。
あなたが自分を大切に扱い続ければ、
傷は少しずつ癒えていきます。
そしていつか、あの悲しみがあったから、
今の優しい自分がいるのだと思える日が、
必ずやってくるのです。
焦らず、あなたのペースで大丈夫です。
今はゆっくりと、
心に平穏が戻るのを待ちましょう。

